琳派美の系譜
琳派の始まりは桃山時代後期まで遡ります。
桃山時代といえば、豊臣秀吉が天下統一を成し遂げ、徳川家康に滅ばされるまでの約20年。
その短い時代でしたが、茶の湯の隆盛、ヨーロッパや朝鮮、明、琉球文化との接触により、仏教色が薄れて新鮮味あふれる豪華で壮大かつ、派手な様式が好まれ、秀吉や同時代の新興大名や豪商たちがその中心となりました。
1615年徳川家康より、洛北(京都)に土地を拝領し、芸術村(光悦村)を作ったことが琳派のはじまりとされおり、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)と俵屋宗達(たわらやそうたつ)という、二人の絵師によって京都で生まれました。
その約百年後に、尾形光琳、乾山兄弟が大成、発展させ、さらにその百年後に酒井抱一が江戸の地で「江戸琳派」として定着させた、一つの芸術の流派です。
また琳派の特徴として、師から直接手ほどきを受け学ぶのではなく、「私淑(ししゅく)」といって個人的に慕い、手本として学ぶことがあげられます。作品そのものから、特徴や技法を学び、時代や家柄を飛び越えて流派を継承することができるのです。
日本の都であった京都の町人文化として生まれた琳派は、世代を超えて受け継がれ今なお、日本独特の美意識として装飾芸術の頂点に輝いていると言えます。
西陣織最高の織技術で表現された、絢爛豪華な琳派の作品をご堪能ください。
特別展示
- 作品名
西陣織 小倉百人一首 光琳かるた
- 作者
- 尾形光琳(製作:西陣織美術工芸あさぎ)
H約10㎝×W約7㎝×200枚
尾形光琳による小倉百人一首は、光琳が京都の公卿から依頼されて約300年前に制作したものです。
現在残っている小倉百人一首のなかで、最も豪華で華麗な歌かるたといわれています。
読み札には上の句と詠み人の肖像(歌仙絵)を、取り札には下の句と歌の意味に沿った花鳥風月(歌絵)が添えられています。
琳派芸術が息づく日本古典の美意識が鮮やかに甦る作品を、西陣織最高の織技術により、最高の絹糸と本金箔を使用し表現いたしました。
- 作品名
西陣織 燕子花図屏風
- 作者
- 尾形光琳(製作:西陣織美術工芸あさぎ)
(H約152㎝×W約160㎝)×2隻(一双)
尾形光琳により、金地に映える濃淡の群青(カキツバタの花の部分)と緑青(カキツバタの葉の部分)によって鮮烈に燕子花の群生が描かれた燕子花図屏風。大胆な構図が心地よい旋律を奏でるような躍動感とリズム感をもたらすという、斬新なアイデアに溢れた作品です。
この作品は平安時代の歌物語の一つである「伊勢物語 第9段東下り 三河国八橋」の場面を、人物や八橋を描かず極端なまでに装飾化して描いています。
●在原業平によって詠まれた歌
からころも
着つつなれにし
つましあれば
はるばる来ぬる
旅をしぞ思ふ
光琳の代表作であり国宝であるこの作品を、本金箔を使用し絢爛豪華な屏風として、西陣織最高の織技術で表現いたしました。
基本情報
- 休館日
- 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、年末年始、お盆期間(8月中旬)、展示替え期間
アクセス
電車・バスなど公共交通機関でお越しの方
阪急京都線「烏丸駅」23番出口 南へ徒歩3分
地下鉄烏丸線「四条駅」6番出口 すぐ
ツカキスクエアより、1階にて受付後エレベーターで7階へお上がりください。
車・自転車などでお越しの方
※当館には、駐車場・駐輪場はございません。公共交通機関でお越しください。
- 入館料
-
- 一般
- 500円(400円)
- 高校生・大学生
- 400円(300円)
- 中学生以下
- 無料
- ※大学生以下の方は年齢のわかるものをご提示ください。
- ※( ) 内は20名以上の団体料金。
- ※入館料は現金のみのお取り扱いとなります。
- ※障がい者と同伴者1名さまは、入館料を半額とさせていただきます。