西陣織美術工芸
あさぎの技法

技法一:図案 技法一:図案

先染めの紋織物である西陣織にとって、もっとも大切な工程。図案家によって、帯の原寸大で描かれる。

技法二:紋意匠作成 技法二:紋意匠作成

織物の設計図。図案を拡大して、方眼紙に写しとる。

技法三:紋意匠図 技法三:紋意匠図

丸帯一本に必要な紋意匠図は、縦約15m×横約1.8mにも。織組織を指示するために、ひとマスごとに塗り分けを行う。

技法四:生糸えらび 技法四:生糸えらび

意匠にふさわしい糸を選ぶ。風合いや太さなど、作品にあう撚糸※を吟味する。
※撚糸とは、細かい何本かの生糸を撚り合わせた糸。

技法五:精練・糸染 技法五:精練・糸染

生糸についた汚れや油を取りのぞき、絹本来のしなやかさを引き出す。紋意匠にあわせて色糸に手染めする。

技法六:整経 技法六:整経

経糸(たて糸)に使うために、染め上った糸をまず糸枠に巻き取る。
つぎにたくさんの糸枠を並べて、大きなドラムに再度巻き取る。

技法七:糸繰・管巻き 技法七:糸繰・管巻き

染色された緯糸(よこ糸)を扱いやすいように糸枠に巻き取る。
そしてさらに、杼(ひ)に入れるために管(くだ)に巻き取る。

技法八:製織 技法八:製織

1800口織ジャガードの丸帯織機をあつかうには、熟練した織り手の技術が必要。

西陣織美術工芸あさぎの技術 「1800 口織」とは…

織物は経糸と緯糸が重なり織絵柄を構成します。
経糸と緯糸が交差する点が袋帯巾(約30㎝)に対して400であれば400口、900であれば900口、1800であれば1800口といいます。
交差する点を1mm四方の方眼紙で表したのが紋図(織物の設計図)となります。
西陣の一般的な織物は400口、600口、900口織ジャガードで製織されており、紋図の横1列のマス目が多いほど細かく織る事ができます。
染色技法の友禅や更紗など着物では繊細な表現が可能ですが、織物は組織上、曲線が表現しにくく繊細な表現が不可能と言われていました。
しかし、近年の織技術の発展により一般的な西陣織の4~9倍の繊細さを誇る1800口織ジャガード織機を駆使することで、絵に描いたような立体的な表現が可能となりました。

400~1800口織紋意匠図の比較図

西陣織ができるまで

最終段階の製織にいたるまでに数多くの工程が存在し、それぞれが独立した分業であることも、西陣織の特徴の一つです。図案家、意匠紋紙業、撚糸業、糸染業、整経業・・・と20以上の専門業者が関わって、やっと一つの作品が完成します。

西陣は、高度な分業体制が確立された特別な場所であり、さまざまな分野の伝統工芸士や京の名工たちが匠の技を発揮する、洗練された織物の産地なのです。

西陣織ができるまでの説明図 西陣織ができるまでの説明図